2025夏遊行の旅紀行
- 遊行の職人S
- 7月15日
- 読了時間: 3分


酒粕に想いをよせて ―株式会社神戸酒心館 久保田副社長インタビューより― 関西では馴染み深い酒粕ですが、
他地域では使われることなく廃棄されてしまうことがあります。株式会社神戸酒心館の久保田副社長は、こう語ります。「関西でも家庭での調理機会が減ってきており、酒粕を食べる機会も少なくなっています。私たち蔵元としても、もっと多くの方に酒粕の魅力を知っていただきたいと思っています。」

『酒粕プロジェクト』
神戸酒心館では、10年以上前から地域の飲食店と連携し、毎年2月に“酒粕料理”を提供するプロジェクトを続けています。参加するのは和食店にとどまらず、フレンチ、イタリアン、ホテルなど多様なジャンル。神戸だけでなく、大阪や京都にも広がっています。

「今ではパン屋やスイーツの業界にも広がり、実に様々な料理が生まれています。酒粕の話題が少しでも広がっていけば、他地域でもその認知度が上がっていくのではないかと、このプロジェクトを続けています。」

『酒粕って何?』
「酒粕には驚くほどの可能性があります。種類によって味や香りが異なり、大吟醸の酒粕は香り高く、純米酒の酒粕は米の旨味がしっかり感じられます。まさに蔵の個性が表れる素材です。」久保田副社長はそう語り、「実は酒粕を見れば、その蔵のお酒がわかるとも言われているんです。だから、いい加減なものは絶対に出せないんですよ」と笑顔で話してくれました。
「酒粕を使った料理」 印象深かった酒粕料理として挙げられたのは「酒粕のカルボナーラ」。粕汁をベースにした鍋の〆にパスタを入れて仕上げるそうで、とても好評だったようです。またチーズとの相性も抜群で、酒粕入りのチーズも他社とコラボで作った経験があるのだとか。ご家庭では例えば冷凍のピザ生地にチーズとペーストした酒粕を加えるだけで、驚くほど美味しくなるとおすすめされていました。発酵食品同士はとても相性が良く、少量加えるだけで料理の味に深みが生まれます。「調味料としての酒粕」という新しい提案も、今注目されています。
「逆に唐辛子のような刺激の強い食材と合わせると、酒粕がその刺激をまろやかにしてしまうんです。ほんの少し加えるだけで、料理全体の味わいが変化する。それが酒粕の力です。」酒粕の持つ味の変化の仕組みは、まだ科学的に解明されていない部分も多いとのこと。久保田副社長は「そのメカニズムをきちんと理論づけていきたい」と、未来に向けた意欲も語ってくださいました。









