
その場所は能登半島の先端の小さな集落、松波。
原材料は米と大麦だけ。
発芽させた大麦を粉末状にし、奥能登産のお米を蒸したものに混ぜて一晩寝かせると甘いもろみができます。
朝それを絞った汁を大きな鉄釜で温度調整しながら炊き詰めていきます。
「季節や気温、湿度によって微妙に変化する米飴の固さ加減と出来栄えを、
長年の経験と勘で調整が必要なんです」と横井さん。
米の甘みを最大限に引き出すため、それぞれに最適な温度があるとのこと
出来上がるのはとろりと琥珀色の水飴。
喉にゆっくりと伝わる甘さは郷愁をそそる優しい味わいでとても美味しい。
米飴は砂糖(ショ糖)と違って多糖類系です。
寄せ集めの糖類なので食べても太らないそうです。もちろん食べ過ぎはだめですが。柔らかいから喉越しにゆっくり伝わる。じんわりと甘さが染み込みます。
それを「ホロホロと甘い」というそうです。


米飴は母から子へと代々受け継がれてきました。
集落のお年寄りなら「子供の頃おばあちゃんがつくってくれたあの味、思い出すなあ」と、家々でつくられていた頃を語ってくれます。
またの名を『じろあめ』。
柔らかい事を『じろい』と言からだそうです。
この飴は天然の甘味料として様々な料理に使えるそうです。
そのまま口にするのはもちろん、横井さんはトーストにたっぷりかけて毎日食べるのがお気に入りだとか。卵焼きにいれてもいいし、照り焼きチキンや大学芋、煮物、焼き物など様々に使えます。まるで癖のない優しいまるい味わいのハチミツの様にも思えます。
砂糖を一切使わずにこの米飴だけを使ったレストランもあるとおききしました。
戦国時代より500年以上の歴史を持つ松浪の飴も、伝統製法で今もなお米飴を作っているのは『横井商店』の一軒のみ。3代目のヨシ子さんを千四吉さんが継ぎ、今では二人で窯場を守っているのだとか。
2024年に続いた天災にまけず、松浪の宝物として守っていってほしい。

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